Huluプレミア『ツタンカーメン 呪われた王家の血』を観た感想です。
全6話のミニシリーズで、古代エジプト史上最も有名なファラオ、ツタンカーメンの生涯を描いた歴史スペクタクルです。
Huluの歴史ドラマといえば『オスマン帝国外伝』などもありますが、いつ終わるともわからない『オスマン帝国外伝』に比べて圧倒的に観やすいですね。
Huluプレミア『ツタンカーメン 呪われた王家の血』のあらすじ
紀元前14世紀のエジプト。父王の死によりわずか9歳で王位に就いたツタンカーメン。
宰相のアイの指示により、ツタンカーメンは10年間、民の前に姿をみせることなく王宮の外に出ることなく育つ。
しかし、ツタンカーメンはその間密かに剣の腕を磨き、逞しい青年に成長する。
ツタンカーメンは、父王の遺志により姉のアンケセナーメンと結婚しており、王家の血を絶やさぬよう早く世継ぎを残そうと望んでいたが、なかなかできずにいた。
青年になったツタンカーメンは、お忍びで訪れたテーベの町で敵国ミタンニの娘と出会い、そして恋に落ちる。
王宮内ではツタンカーメンから王位を奪おうとする者が虎視耽々と狙っており、ツタンカーメンは自分の力を示すため、自ら敵国ミタンニの討伐に乗り出すが・・・
Huluプレミア『ツタンカーメン 呪われた王家の血』の感想
まず邦題の『呪われた王家の血』ってサブタイトルはいらない。『ハムナプトラ』や『インディージョーンズ』的なアドベンチャーならまだしも、本作は歴史ドラマなので呪われた~とか安っぽい感じです。
ツッコミたいところは色々あって、まずツタンカーメンは近親交配により病弱で障害も抱えていたということが発見されたミイラを調べた結果判明していますが、本作では超アグレッシブ。自ら戦争に出向いちゃいます。
幼い時のツタンカーメンは片足を引きずって歩いたりと、体が不自由な描写があったりしたんですが、青年になった途端に剣を振り回し始めます。ちょっと無理があるような。
演じる俳優陣はほとんどインド系で違和感がすごい。ツタンカーメン役もアンケセナーメン役もかなりの美形で目の保養なんですが、どっからどう見てもインド系の俳優さんです。
軍人のホレムヘブ将軍にいたってはアフリカ系の黒人さんでした。史実ではこのホレムヘブ将軍は後にファラオの座に就くんですが。うーん・・・。
一人ナイスキャストだったのはこのお方。
宰相アイを演じるベン・キングスレーです。古代エジプト風メイクもちゃんと施して腹の内が読めない老獪なジイさんをうまく演じております。彼もインド系の血を引いてるそうですが、他のキャストに比べると違和感はそんなに感じません。
建築物や衣装も少々盛りすぎで、ゲームに出てきそうな凝った宮殿や、エメラルドグリーンや鮮やかなピンクの衣装など、見てる分に華やかでステキだけど、よく考えるとありえないよね!?
色々文句言ったけど、史実と異なるって点を除けばそれなりに面白いドラマです。近親相姦(古代エジプトでは普通)や夫の親友との浮気などのメロドラマ的要素、陰謀や戦闘のシーンなどは、映画や『ゲーム・オブ・スローンズ』なんかの足元にも及びませんがなかなか見ごたえはあります。
建築物や衣装も史実に基づくと、砂・石・麻の茶・茶・茶になるので、ビジュアル的には多少の盛りはよしとしましょう。見ていて楽しいしね。
なんせ3000年以上も昔の話で、遺跡や発掘品からわかったことだけが史実とされていて、それすら本当かどうかなんてわからないんですからフィクションと思って観ればアリですね。
歴史が好きで、このドラマに興味を持った方には、マンガですが『アトンの娘』という作品がオススメです。
里中満智子さんという漫画家さんの作品で、色々な歴史作品を描いている方です。史実とフィクションを上手に織り交ぜて描いていて、里中さんの代表作である、持統天皇の生涯を描いた『天上の虹』もとても面白い作品です。
話がそれましたが・・・『アトンの娘』は、ツタンカーメンの姉であり妻であったアンケセナーメンの生涯が描かれてあり、このドラマではとっとと死んじゃった父王、有名なのにドラマでは端折られちゃった母親との関係や、ツタンカーメンが死んじゃってからのアンケセナーメンの行く末などがわかります。
史実ですらこのドラマと違っている点も多く、歴史のロマンを感じられます。歴史好きなら絶対面白い!!
エジプトものマンガと言えば『王家の紋章』なんですが、1976年に始まってまだ連載中というこの化け物マンガはもう行先を見失っていて、作者が死ぬまできっと終わらないであろうということであんまりオススメできません。
と最後はマンガの話になってしまいました。ちなみに『ツタンカーメン 呪われた王家の血』の原題は『TUT』(トゥト)、ツタンカーメンって意味なんですが・・・顔文字にしか見えなーい!!